美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 それはまるで、陸上競技の『ハンマー投げ』の助走の様でした。
 その回転する鉄球の機械仕掛けを前にし、竜達は退却するしかなかったのです。

 「やりましたぞ!」
 搭の天守閣から、オー、オーという歓声があがりました。
 
 「我ら『新・バビロニア』は無敵だ!」

 「忌々しい、竜を撃滅してやったぞ!」

 「竜とて、獣のくせに…! 人間に歯向かうからだ!」


 軍師達は、声高らかに言いました。そして最後に、一人の軍師が「敵軍のドラグーン(竜使い)は、即刻捕らえ、縛り首にしましょう!」と王様へ忠言をしました。

 
 「へ? ドラ…ドラグーン!?」
 ユイはどことなく聞き覚えのある、その名前に驚きました。

 聞いた事がある…
 ドラグーン…ドラグーン…

 
 「いや…違う……!」
 バビロニアの王である、ネブカドネザル2世は恐怖の汗を床に滴らせていました。尋常な量の汗ではありあせん。
 「あ、あれは子供だ…!」

 ………
 ……
 と、曇天の上が赤く染まります……!!


 「なんだ! あれは!?」
 誰かが叫びます。
 厚く厚く重なったハズの雲はその灼熱に一瞬に溶け『炎竜』が、その巨体を出現させたからです!

 全長3キロはあろう、その紅蓮の竜に…軍師達の高揚は一挙に挫かれ、人々は悲鳴を上げ、奴隷達は神にすがり、王は絶叫しました!

 「イ、イグニスっ!!!」、と。

 イグニス――!!

 ――――
 ―――
 ――
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