美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
――激闘――!!
 
 しかし…

 【『アポロンの娘』が優勢だ】
 と、評したのは『闇竜』でした。


 ウルトラマンに憧れた少年達が、見よう見真似でパンチやキックの素振りをする中で、それらの型の概要を憶えていくような事を、概ね、女性は経験しないでしょう。


 ユイは快活な少女時代を過ごしましたが、やはりその例には漏れず――

 【足は(飛行も含んだ意)早い。 しかし打撃は……】
 【まったくイグニスのおかげだ。あんなパンチが……】

 そう、あんなパンチが決定打となったのです。

 ユイのネコパンチ…
 ならべて『炎竜』の鉤爪が、竜一の肩(と同時にクロー攻撃が『雷竜』の翼)を激しく打ち、竜一を地面に叩き落したのです!

 「やった!」
 と言ったのは、遠方のビルから闘いを見届けていた、L。

 しかし美奈子は一言も発せませんでした。彼女はまず、戦士としてではなく女性として不憫で仕方なかったのです。片想いの相手と闘う事が…

 「これで…!」
 とユイが、地面に突っ伏せた竜一へと必殺の拳を繰り出そうとする刹那――

 彼女はその“敵”が、ゆっくりと振り向くのを見てしまいます…!

 「…え…?」

 そしてその顔が、恋い慕う少年、その人である事を認めてしまったのでした……!


 (いけない!)
 美奈子は思いました。しかし、彼女は声が出せませんでした。

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