美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 総指揮を任された警部は、半ば無能と言える3課の報告を形式的に一しきり聞くと、
 「なるほど。 3課は、引き続き捜査を続けろ! 次、特捜の8課!」
 と、裕達を指名しました。
 
 声のトーンから、多少は8課に期待しているようでした。

 「はい」
 裕が立ち上がります。
 「やはり、この事件の不審な点は…他の課からも何度か挙がりマシたが…」
 
 と、ここで裕の手の合図を見て、Qがスライド写真を映します。

 「はい、これです。美術館全館の防犯機器の一切のショートですね」
 
 スクリーンには、エラーを起こしている防犯ベルの写真です。

 Qはここで、サッと裕からマイクを奪います。
 
 「仮にこれを、2課の主張のようにネオジム磁石を使った磁場異常と考えますと…」
 ここでQは、咳払いし、コーラを飲んでみせました。報告中にです。
 「理論上必要な磁場は300テスラになります」
 
 Qという女性は、能力の無い人間が偉ぶっているのを見ると、無性にも虚仮にしてやりたくなる性格なのでしょう。
 Qはさらにダメ押しという風に、ヤレヤレ、と首を振りました。

 しかしQがそうするだけで何も言わないので、さすがに…
 「どういう事かね!?」
 と、誰かが声を荒げました。

 それは、プライドの高い歳を重ねた男達です。大学を出たばかりの小娘に、愚弄されていては怒鳴りたくもなるでしょう。

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