美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「日付変わりまして…あ! 天の川です」
 「見てください、この慈愛に満ちた天球のドラマを」

  この文句を彼は、終生、忘れることは無かったようです。

 

 
 「綺麗……!!」
 Kもまた、空を見上げていました。
 「ええ……。本当に」
 Qは無意識に空に手を伸ばしていました。

 夜空の星々は不幸すぎた少年に涙を流しつつ、けれど悲しみに歪む事はありませんでした。今日あった不幸を洗い流すように、星空はいつも誰にでも等しく、降り注ぐのでしょう。 愛という名の下に、降り注ぐのでしょう。
 
 
 「竜一くん…ごめんね…。そして…ありがとう」
 美奈子には分かっていました。竜一が人々を許したこと、この世界で生きていく人々を愛そうとしたこと、そして、差し伸べられたユイの手を断った理由を。
 
 だから彼女は微笑み、涙しながら、嘲けたのです。
 「でも……。 アナタ、ほんとうに、“バカヤロウ”よ」
< 434 / 447 >

この作品をシェア

pagetop