美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 ユイを含め、人々は誰もその『雷竜』の姿に気付きませんでした。『雷竜』は誰にも気付かれる事なく、星の世界へと去っていったのです。
 その、「さよなら」を言わない「さよなら」が、愛すべきものを持つ強き者にしかできない事であるのは言うまでもないでしょう。
 
 天の川を遡る『雷竜』は
 「僕は……」と、独り事を言います。
 「僕は南竜一。かつて誰かを愛し、誰かに愛された」
 「その記憶があれば、一兆年の孤独にも僕は怯えない」

 ――だからもう……


 「だからもう……」
 竜一の想いが、地平線に現れる朝日のように、ユイに降り注ぎます。
 
 「…! 先輩…!?」
 ユイは確かにその言葉を聴きました。
 
 ユイは、ハッとして空を見上げます。


 
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