美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 夕暮れ。

 久々に今夜は月が眺められそうだなぁ…
 藤間裕は、屋上の手すりに凭れながら、雲一つ無い橙一色の空を眺めていました。

 もちろん彼が意図する月とは、妻と娘が無生産なトレンディ・ドラマを観る傍らで、自宅の窓から眺める月の事でした。


 ああしかし、なんという、ささやかで優しい、本質的な幸せの原風景なのでしょう。


……

 南竜一がたとえ全ての感情を感知したとしても、きっと今の彼の心では現像出来ない風景なのです。



 「先輩!」
 Qの声で振り向いた裕に赤い缶が投げられました。

 「どうだった、Q?」
 放られた缶とは、もちろんコーラでした。

 「ダメですね。マークしてた子供達は皆、シロでしたわ」

 「全員?」

 「ええ。レベル2の子供達は」

 「レベル1まで捜査範囲を広げましょうか?」
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