執行猶予3年

「そ~んなのやめちゃっていいわよ~。」

俺は例の如く、
喫茶店”トス”に来ていた。
バレー好きのママと、
初老のマスターでやってる、
家から10歩の距離にあるため、
行きつけになってた。

「騙されてるわよ。」

「やっぱり?」

前日の、
警備員のバイトの事を言ってみた。
そしたら、
ママはやめた方がいいと。
やっぱここは大人の意見聞くよね。

「や~めよ。
って言うか、
今日の研修行ってないし。
今日金払わなきゃいけないからね。
だいたいねえし。」

「仕事決まってるの?」

「ねえから焦ってる。」


ため息しか出ない。

「あら、またピアス増やしたの?」

もともと口にピアスが1つ。
この間、仕事を辞める事を期に、
耳の軟骨に1つ開けた。

「ふたつしか開いてないよ。」


喫茶店のカウンターで、
うだうだしながら、
求人雑誌を眺める俺がいた。
もう5日経つ。

もう、なりふり構ってられないや。




俺は、
最悪の時の為に、
目星をつけていたバイトに、
電話した。




< 32 / 189 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop