執行猶予3年

夜中。

鶴宅に来ていた。
居る場所は、
外やけど。
細い路地裏にあるこの場所。
一段高くコンクリが積まれてる、
一角に鶴のアパートはあった。
人目にもつきにくくて、
こんな暗い所には、
人も来ない。

そこで、
たった一つのチュウハイと、
タバコを片手に、
俺らは話していた。

「洋ちゃんは?」

「寝てるんじゃない?」

じゃ、心おきなく。
女同士の、
立ち入った話してあるやんか。


「まっちゃん。
最近どうよ?」

最近どうよは、
この生活に入ってからの合言葉。
この時のニュアンスは、
少し違ったような気がするけど。

「まあ、何とか、
生きてるって感じ。」

お互い。
友達以上に近い距離に居て、
家族以下。
支え合うのは、
気力面。

あいつらも、
できてんねん。
俺だって…。

そう言いきかせられたのは、
何気にこの関係のおかげ。


「俺は、
まさかお前らとこんなに、
仲良くなるとは思わんかったわ。」

「いつだっけ?
実習一緒になったのがきっかけ?」

「そうそう。
洋ちゃんことは、
1年時から知っとったけど、
鶴ん事は、
そんなやった。」

「カラオケとかめっちゃ行ったよね。」

「お前ら、
歌、めっちゃ上手いんだもん。
俺、歌えんわ。」

「よく言うよ。
めっちゃシャウトしてたくせに。」


笑えた。
ほっと日常に戻れる瞬間。
これは、
此処の住人でありたい。

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