初恋のキミへ。


今日も元輝が家まで迎えに来てくれて、一緒に学校で過ごし、家まで送ってくれた。

家に入ると珍しく両親が揃ってリビングにいた。


「未波。おかえり。少しいいかしら?」


お母さんがあたしに問いかけて、あたしが頷くとソファに腰掛け、その隣にお父さんが座った。その前にあたしも腰を下ろす。


「退院した後、話したことあるでしょ?」


「…うん」


「考えてくれた?」


「正直、ここを離れたくない」


するとお父さんが口を開く。


「未波、出発まであと少しだ。
2年間。それだけの時間でお前は元に戻れる可能性がある。
父さんはな、早く未波の笑った顔が見たいんだよ。
母さんだって同じだ。
だからこそ、行ってほしいと思っている。

元輝くんには言いづらいか?」


「…うん」


「でもな。お前だっていつ治るか分からないものをそのままにしておきたくないだろ?
どれだけ時間がかかるか分からない。それなら2年、ここを離れて頑張って治した方がいいと思わないか?」


お父さんの言葉に少しだけ納得できた。

だけどあたしには勇気がないの…

元輝と離れるなんて考えられない…

まして2年も待たせるなんて自分勝手すぎるでしょ…

そう思うと必然的に別れを選ばなければならない…

あたしの所為で元輝の時間を犠牲にはしたくない。

あたしはどうすればいいの…?
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