初恋のキミへ。


退院した後に両親に言われたこと。

それは―――


担当の医師の知り合いにあたしのようなケースを担当している有名な医師がいるということ。

その期間は早くて2年間。

人によって期間は違うらしい。

その医師がいるのはイタリアだと言われた。

早く治る可能性が十分にあるとも言われた。


だから…


本当は行く気はなかった。
だけど元輝のことを考えると行くべきだと思った。

毎日隣にいてくれて笑顔を向けてくれるけど、どこか寂しそうな彼をあたしは見抜いていた。

これ以上、そんな顔はしてほしくない。

あたしなんかの所為で、自分を犠牲にしてほしくない。


だから…


あたしは決めました。

あなたの傍を離れ、元の自分を取り戻しに行くことを………
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