初恋のキミへ。


「…そんな言い方すんな」


「…本当、来ないで」


「分かったからそんな風に言うなっつーの」


ワザと強く言ってやる。
これでいいんだよな?
嫌われようとするなんて無駄なことなんだから。


「それと、今日で会うのは最後。
準備で忙しいし。

今までありがとう。」


まさか今日で最後なんて言われるとは思ってなかった。


「…なんでたよ…まだいいだろ!」


「もう会いたくない。じゃあね」


そう言って家に入ろうとする。
俺はまんまと策略に乗せられ喧嘩になった。


「いい加減にしろ!そんなこと言うなよ!
まだお前に伝えたいこといっぱいあんだよ!
まだお前と一緒にいたいんだよ!」


「迷惑だから。もう終わり。
…さよなら、元輝」


それだけ言って走って中に入っていった。

悔しかった。

こんな別れ方はしたくなかった。

だけど本当にこれで最後だった。

未波は俺の電話にすら出てくれなくて、あっという間に旅立つ日が来て、見送りも行かなかった。

それが未波の望んだことだったから………


俺には未波がいなくなった現実を受け止める覚悟がまだできていなかったんだ。

心にぽっかり穴が開いたようだった―――
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