ヒメ恋~Last Love~

あたしは、自分の選択に後悔なんてしていない。


海里を愛したことも。

海里の子供を生んだことも。


だけどそれはきっとあたしの自己満足で、リミにとってはそうじゃないかもしれない。


キャッキャと笑うリミの頭を優しく撫でると、クルッとリミが振り返って、不思議そうな顔であたしを見た。


「美海?」

「え?」

「あなた……」


気づかないうちに泣いてしまっていたらしい。


リミだけじゃなく、両親までもがあたしを心配そうな目で見つめる。


せっかくの誕生日なのに、あたしって母親失格……。


涙をゴシゴシ拭いて、

「リミよかったねー!リミの大好きなクマさんだ!!」

精一杯の強がり。


リミはすぐに笑顔に変わり、あたしに抱きついてきた。


「美海、辛いの?」


両親はさすがに誤魔化せないけれど。


「……辛いのはあたしじゃないよ。きっとリミの方が……いつか──」

「美海……」


「あたしね?いつか海里が、あたしたちを迎えにきてくれるんじゃないかって……そんな叶わない夢を見てるの」


あり得ないことだって、ここにいる誰もが思ってる。


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