ヒメ恋~Last Love~

「美海!!気がついた?」


声の主は菜月だった。


「菜月……」


菜月の顔が視界に入った途端、涙でボヤけ始めた。


「菜月……あたしッ……」


それ以上は言葉にできない。

やっと冷静に現実を理解できるようになった。


海里が……

海里がとうとう本命の恋人を作ってしまった現実を。


「美海……海里さんのこと聞いたんでしょ?」

「菜月は知ってたの?」

「あたしも今日、噂を聞いたの」

「……やっぱり、本当なのかな」

「美海……」


菜月の目がキラッと光って見えた。

もしかして、泣いているの?


あたしのために泣いてくれているの?



「あたしが……海里の側を離れたから?」


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