この想いを君に…3
「これくらいで緊張してもらったら困るなあ」

ステージを降りてから光さんはニヤリ、と笑った。

「そりゃ緊張するわよ!!」

思わず背中を叩く。

「そんな元気があれば緊張なんかせんでええやん!!」

光さんはあたしの頬を突いた。

「うるさいな!!」

あたしも光さんの頬を突こうとしたけれど、手が届かなかった…



「仲、いいねえ〜」

ヒュー、っと口笛を吹いて祥太郎は先に歩き始めた。

「仲、悪いよりはいいでしょ?」

祥太郎の背中に体当たりをすると前のめりになってフラフラっと2、3歩よろけていた。

「…お前なあ!」

祥太郎はあたしの腕を掴んで

「…あれ?」

急に真面目な顔になった。

「リング、貰ったんだ」

左手の指輪を見て祥太郎が微笑む。

そしてチラッ、と後ろからゆっくりと来る光さんを見た。

「うん、昨日、ご飯食べた後に」

「そっかぁ。
光さん、結構前から真由ちゃんに睦海のサイズを聞いてたり。
お店休みの時に店に行くの、付き合ったんだから」

祥太郎は苦笑いをしていた。



そんな事があったんだ。
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