*Tiara*〜天使の君〜
楽しい時間はあっという間に過ぎていく


辺りはだんだん人が少なくなり、太陽は西に沈みかけてきている




(もう日があんなに落ちてきてしまったわ。そろそろ城に帰らないと…)


そう思うとなんだか悲しくなり、さっきまであんなに元気だったティアラは口数が少なくなっていた




「もうそろそろ帰らなくてはいけないわね……お父様が心配なさるし…」


ティアラが残念そうにいったのを見受けて、リオンはかわいそうになった


(久しぶりの外の世界なんだ。この次はいつになるかもわからない。ティアラにもう少しだけ楽しませてやりたいな……)


「そうだ、ティアラ。最後に、昔よく遊んだ、ナイン川の方に行ってみないか?」



その言葉にティアラはまた笑顔になった



「それはいいね兄さん。きっと夕日がきれいに見えるよ。」



リクスもそれに賛成した


「ほんとうに?うれしいわっ。みんなで、またあそこに行けるなんて。」


「それはいい考えですね!ここからだと少し遠いですから、馬で参りましょう。王女さまの乗馬の腕前を久しぶりに拝見したいですね。」


ニックはそういうといたずらっぽく笑った。


「もうっ、ニックったら私の乗馬の腕前が落ちているとでも言うの?」


ティアラはニックに言いかえした


こんな風にしていると、幼いころに戻ったようで嬉しくなった



(昔は毎日のようにニックと言い争いをしていたわね。)


「うふふっ」



昔を思い出すと自然に笑みがこぼれる
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