せぴあなタメ息

やさしい手が、

類の体を持ち上げる。

立たせてくれようとしていた。

「歩ける?」

心地良い声が、

耳元でした。
 
視界を覆っていた黒いものが晴れてゆく。

傍にいる人の顔が見えてくる。
 
綺麗な、

人。
 
無防備な心臓がぱくんと反応した。
 
覗き込んでいるビー玉のように深く澄んだ瞳。

心臓が肝心の生命維持を無視して暴走している。

これって…これ以上ないくらいの超瞬間的一目惚れじゃないか。


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