ふたり



涙が落ち着くと


……ズズッと鼻をすすってから


「実は……結が病気で……」


オレは ポツリポツリと結の事を話した



一通り、話し終えると



高野先生は 何本目かのタバコに火を点けて



「……オレさ、柊の気持ちわかるよ
痛いほど」



遠くを見るような目で
高野先生は話し始めた



「オレ、弟いたんだ」


弟が いる じゃなく いた
過去形だった


「弟、小学生の時に白血病になってさ

オレもまだ子供だったし

なんかドラマみたいだなって最初思ったけど

全然、違うな

入院してる弟が弱っていく姿は地獄見てるみたいだった

薬の副作用で…毛が抜けて

吐いて、吐いて、吐く物なくなっても苦しんで

口の中は ただれて水すら しみてろくに口も きかなくなって

見てるこっちが辛いのに弟はどれだけの苦痛だっただろうって………」



いつも明るくふざけてばかりの高野先生が


その時を思い出し眉間に深くしわを寄せた



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