【旧】モノクローム


苦しくなる、胸が。何か、変。


「……葉月?」


碧が野口くん越しに私の顔を覗く。


「え、葉月……顔、真っ青だよ」


碧が私の名前を呼んだことで、北山さんも野口くんも私を見る。


顔、真っ青……?


自分の左手を右手で触ってみると、すごく冷たかった。


「ごめん……」


私はそう言い残して、急いで講義室から出た。


***


彼らは驚いた様子で葉月を見つめていたが、ぽつりと灯が言った。


「葉月、どうしたんだろうね……」


それと同時に、講義室には講師の先生が入ってきて賑やかだった教室は一気に静まる。


「俺、追いかける」


碧は、そう言い切って席を立つと、周りの視線も気にせずに葉月の後を追った。


その碧の背中を見ながら、浩太は呟いた。


「あのふたり、一体どういう関係だよ……」


さあ、と灯は相槌をうち自分のバッグからルーズリーフを取り出した。


ふたりはいなくても、講義は始まる。

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