ボーダレスラブ
出会い
満開に咲き誇る桜。
そんな中を制服をぎこちなく着て歩く私。
上級生に迎えられながら今日から私が3年間過ごす校舎に入っていった。
1年の教室は3階にあり、上るだけで息が切れる。
「大丈夫?」
後ろからいきなり声がかかり、びっくりしてふりかえると髪の毛がふわふわで茶髪の小さな愛らしい女の子がいた。
「大丈夫です。」
と思わず敬語で答えてしまった。
「なんで敬語なん(笑)同い年やろ?うち、奈緒っていうねん。よろしく。」
第一印象は笑顔がとても似合う子だと思った。
「私、陽子。よろしくね。」
こっちに来て初めての友達ができた。
「陽子は何組なん?うちは、B組やねん。」
「私もB組だよ。すっごく緊張してる(笑)」
「なんか緊張してるオーラーだしまくってたよ。うちは楽しみでしゃあないわ。」
そういって笑う奈緒をみると、自分の童顔がはずかしくなった。
「こっちの子らみんな大人っぽいから私なんか浮いてるしさ。」
「どっからきたん?うちは地元民やで。」
「お父さんの転勤で和歌山から引越してきた。」
懐かしい故郷を思い出すとさらに緊張してきた。
「ド田舎やん。」
ケラケラ笑う奈緒を見ていると緊張が和らぐ。
「みなさん、自分の教室に入って出席番号順に座っていって下さい。」
という指示に従い、奈緒と一緒に教室に入っていった。
がやがやしている教室で黒板に書いてある番号をみる。
私は7番だから……
一番前かよ!?!?
最悪〜。
先生に見られまくるし。
「奈緒はどこの席?」
「うちは前から2番目や〜。最悪やな。陽子は?」
「私は一番目〜。ほんとに最悪や〜。2番目やったらまだいいやん。てか、どこの2番目?」
「窓際から2列目の2番目やで。出席番目10番やから。」
「私、奈緒の席の前!」
「まじで!?」
「うん。早く席行こう。」と後ろが詰まってきたので奈緒の背を押しながら、席までいった。
奈緒が近くの席でなんとなく安心した。
これから始まる中学生活が楽しみでしかたない。
部活に勉強に遊びに……恋愛もしたいなぁ〜。
まっ、当面は友達作りだね。