君らのおかげで
"麻[アサ]が寂しくないように、犬でも飼おうか"
高校に入学する時にもらってきたシロ。寂しいのには、もう慣れたのに…。
外に出ると少し肌寒い。いつもと少し違う道を歩いてみる。月に一回はルートを変える。

「おいクロ!!そっちじゃない!!」
「ははっ頑張れ星[ホシ]」
「清[セイ]…お前人事だと思って…お前の犬だろ!!」
「クロは俺より星が好きなんだよ」
「ったく…ん?」

気づかれた…!

「あれ?…麻じゃね?」
「え、あ、ホントだ」
「…気づかないでよ」
「お前も散歩か!!」
「うん、まあね」

シロが清に寄っていく。

「人好きなのか?名前は?」
「シロ」
「なにパクってんだよ!しかも白くねぇし!」

星が笑う。

「そっちだってクロのくせに黒くないでしょ」
「ワリィか!つか清の犬だし!」
「そーかそーか」

家の外と中では性格が全然違うあたしは、久しぶりに会った清と星にテンションが最高潮だった。

「部活同じなのに、麻とは全然話さなかったし、今もそんなじゃないよね」

清が言う。あたしと清は同じK高校に受かった。ただ、清と仲の良かった、同じ陸上部だった星は落ちた。M高に行っているらしい。

「けどホント懐かしいな!元気だったか?!」
「まあまあかな!」

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