引き金引いてサヨウナラ


ある日。


朝のHRで出欠の確認後、授業は執り行われずに、珍しく全校集会となった。


整列せずにぱらぱらと体育館へ向かう途中、いつの間にか美菜の近くに弘と叶が来ていた。


「なんだろうな?」


首を捻り、ぼそりと呟いた弘の声が、誰にも拾われず廊下に沈んでいく。


答えを知る由もない。


でも何か適当な理由をつけるのも、はばかられた。


いつもなら会話を返す叶も、同じ気持ちなのか、言葉を出さない。


時期が時期だけに、何かあったのだろうかという不安が、美菜に忍び寄ってくる。


そんな美菜の気分をはねのけるかのように、弘はニカッと笑った。


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