引き金引いてサヨウナラ


何か不満があるのかと言われたら、真っ先に彼女の口から出る言葉は。


退屈。


ただそれだけ。


でも彼女には、それで充分この田舎を飛び出していく理由になり得るのだった。


しかし実際は、彼女はまだこの地に留まり、この春から普通の女子高生として生活していた。


美菜がその学校から出た頃には、既に空はうっすらと色を変えており、もうすぐそこまで暗闇が近付いているかのようだった。


伸びた道の片側にだけ、間隔をあけた街灯が、ぽつねんと忘れ去られたように立っているけれど、まだ明かりはついていない。


時々、農作業の帰りらしいひととすれ違い、「美菜ちゃん、いま帰り?」なんて声を掛けられたりもした。


あまり無愛想にすると親の耳に入って面倒なことになるから、挨拶を返す。


表情までは繕えずにいて、それでも人の良さそうな彼らは、気にした様子もなく、にこにこと見送ってくれるのだった。


< 3 / 221 >

この作品をシェア

pagetop