がんばれ!ノザワくん

コモちゃん作「ぼく、くぼた」

 僕は久保田。巷では、僕のことを「うまい酒」と呼んでくれている。飲み会の時には、あちこちでひっぱりだこさ。

 今日は、ソコモ群馬事業所のオーノ所長に連れられて、所長の職場へとやってきた。なんでも、前橋の街中で会議があるらしく、その後の飲み会で僕をお披露目してくれるらしい。うまい料理にうまい酒は飲み会の定番だな。

 会社に着いてから、僕はしばらくロッカーの中で眠っていた。今日はそんなに暑くないし、ここはクーラーが効いてるから、熱燗になるようなことはない。でも、夏はやっぱり冷やして飲んだ方が…。

 所長もそう思ってくれたらしく、部下のノザワ課長に「冷凍庫に入れて来い」と言った。…いくら冷えるのが早いとは言っても、冷凍庫はムリだろ。なにせ僕は一升瓶だから。相当大きな冷蔵庫でない限り、入らないと思うけどな。

 ノザワ課長もそう思ったらしく、冷蔵庫に僕を入れてくれた。でも、一升瓶はそう簡単に入らない。他にもいろいろと入ってるからだ。1本しかないのに箱に入ってる栄養ドリンクとか、飲みかけでストローさしたままのジュースとか。かなりムダのある冷蔵庫だな。

 ノザワ課長は、僕を野菜室のポケットに押し込んで、ドアを閉めた。あとは、出かける時に僕を迎えに来てくれれば…

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