がんばれ!ノザワくん
その数日後。

よねちゃんのところに、「入館証」を首から提げた、ふくよかな女性が訪ねて来た。

「あ、カザワさん!お久しぶりです~」

なんだ、カザワさんか。スーツの色が以前来た時と違ったから、誰かと思った。

「どうしたんですか?」

「送ってもらった書類、産業医の先生が出張続きで不在だったんで、なかなか書いてもらえなくて。やっと昨日書いてもらったんだけど、今日、安全衛生委員会の会議で、こちらにお邪魔することになってたから、持って来ちゃった」

フリッツ健康管理センターは、高崎駅の近くにあるんだよな。確かに、郵送するなら、直接持って来た方が早い。

「封筒は使わなかったから、これはまた別の機会に使ってね」

書類を受け取ったよねちゃんは、ノザワくんに書類を渡した。

「あ、やっと来たんだ」

ノザワくんは、書類のコピーを取りに、コピー機の方へ。

「ところで、今来た人、誰?」

小声でよねちゃんに確認するノザワくん。

「え?健康管理センターのカザワさんですよ」

「あ、あの人が、カザワさんなのか~」

妙に納得している、ノザワくん。見たことなかったんだな、きっと。
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