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忘れもしない 5月の後半 



ある日の午後4時。





電話で涼くんと会う約束をした。






電話で話すのは生まれて初めてだった。




もちろん、家の電話。




会話もバレンタイン以来だから、かなり久しぶりで・・・・・・





待ち合わせの場所は



私の町と



涼くんの町を



つなぐ橋。







近いけれど、



その橋が 2人を 遠ざけてる気がしていた。






私もその橋の向こうに住んでいたら・・・・・・



何度もそんなことを考えた。




私の家から見えるんだよ。




その橋。






ストーカー並みに


自分の部屋からこっそり見ていた。





涼くんが部活を終えて、私も部活を終えて・・・・・・


私が家につくのと同じくらいの時間に


涼くんは


あの橋を渡る。





遠すぎて、誰が誰かわからない。





涼くん以外は・・・・・・







どんなに遠くても



涼くんだけは


わかる。









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