左手は常闇を這う【短編】


何故、僕は未だこんなところへ閉じ込められているのか?
何故、僕は……



まだ消えてしまわないのか?


それは“生きている”ことと同義語なのだろうか?


僕はあの人と一緒にいなければ存在する意味がないというのに。

僕には帰る場所すらなく。

まるで這いずり廻る手首のように、あの人から切り離されてしまった。




< 3 / 38 >

この作品をシェア

pagetop