Melody Honey
「我慢させておいて、まだ言うつもりか?」

まだまだ余裕な表情で、詩音が言った。

「――最低…」

そう言った私に、
「最低で結構だ」

まるで怒っているかのように、指先が強くなった。

「――あっ…」

その刺激のせいで、言い返すことができない。

「最低が桐生詩音って言う名の人物だからな」

そう言った詩音に、
「――バカ…」

震える声で、私は言い返した。

相手を罵るための言葉のはずなのに、甘いささやきにしか聞こえない。
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