Melody Honey
そんな私に、
「俺が欲しいんじゃないのか?」

詩音が聞いてくる。

「黙ってるくらいなら、言った方が早いんじゃないのか?」

わざとらしく、私の耳元で詩音が言った。

ささやかれるテナーボイスに、私のプライドが音を立てて崩れ落ちた。

「――お願い…」

震える声で、私は詩音に言った。

「――詩音が、欲しい」

言い終わったのと同時に、詩音が中に入ってきた。

私は自分の両手を詩音の背中に回すと、離れないように強くしがみついた。
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