Melody Honey
その沈黙を破るように、
「お前さ」

ため息混じりに、詩音が言った。

「ヤキモチ焼いてんの?」

そう聞いてきた詩音に、
「ヤキモチ…?」

私は聞き返した。

「俺がそいつの相手をするから嫉妬してるのかって?」

「し、嫉妬…?」

「自覚がなかったのか?」

それ、バカにしているんですか?

頬が紅くなって行くのが、自分でもよくわかった。

「――わ、悪い…?」

震えた声で、私は言った。

「別に」

ニヤリと、詩音の口角があがった。

「むしろ、嬉しい方かも知れねーな」

わざとらしく、詩音に至近距離で言われた。

うっかりしたら、唇がくっついちゃうかも知れない。
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