Melody Honey
「あれ?」

サックスのメロディーを耳にした瞬間、私は呟いた。

この曲、どこかで聞いたことがあるような気がする…。

そう思いながら、私はメロディーに誘われるようについて行った。

「――あっ…」

帽子にサングラス、そしてスーツ姿の男がサックスを吹いていた。

サックスの大きさからして見ると、テナーサックスだ。

と言うか…それを吹いているこの男の人は、
「――桐生だ…」

私は呟いた。

その男は紛れもない、テナーサックス奏者の桐生詩音だった。
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