サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「おっちゃん、取り調べおわった?」

野次馬の後ろには、爽やかな笑みを浮かべた優介が待っていた。
後ろには暇そうにタバコを吸うケンジロウがいる。

「あほ。取り調べじゃないっちゅうねん。
警察になあ、ついこのガキ知っとるわー言ってしまったんよ。
殺されたあのガキ、4ヶ月前の…なあ」

豊城はそう声を潜め、警察に聞こえていないか辺りを見回した。

「おっちゃん相変わらず関西弁が嘘っぽいね」

「あほ。ワシは東京都生まれやっちゅうねん。
大阪にラーメンの修行に行ってたからな、そん時に染み付いたんやなあ」

そう言って豊城は懐かしそうに、「伊吹」とかかれたTシャツを撫でた。

「おっちゃんの昔話はいいからよう、伊吹で一杯飲もうぜ。
俺いいかげん座りてえ」

肩まで伸びた長い髪を一つに束ね、口と顎に髭をはやしたケンジロウの足元には、大量のタバコの吸い殻が散らばっている。

「ハイジにはこの旧道のトンネルに来るように伝えたから、もう少し待とうぜ。
もう来るだろ」


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