サイレントナイト~赤くて静かな夜~
「うわ~。やっぱりキツイ系だよね~」

滝口のおしゃべりに付き合うのがめんどくさくなり、ユリ子は目を閉じた。

バイクの風と、目の前の大きな背中の体温を感じて、ユリ子はオカジマのバイクの後ろに乗せてもらった時のことを思い出そうとしていた。

オカジマは、ユリ子をバイクにのせた。

父親が死んだのは、ユリ子が12才の時だった。

東京の青梅市にある「ANDOH」の研究施設で、火災に巻き込まれて死んだと聞かされた。

建物を全焼する大火災の焼け跡には、何かが爆発したような痕跡があったそうだ。

灰になった建物から見つかった遺体は損傷が激しく、自殺なのか、他殺なのか、真相は解らずじまいだったらしい。

けれど、幼い頃からあまり父親と接していなかったユリ子は、父親の死はあまりピンとこなかった。

ユリ子が何より辛かったこと。
それは、オカジマと離れて児童養護施設に入らなければいけないことだった。


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