サイレントナイト~赤くて静かな夜~

訪問者

>>>

遠くから、バンバンと扉を叩くような音がした気がして、オカジマは我にかえった。

「こんな時間に…?」

熟練工の八丁堀は鍵を持っているし、取引先が夜に岡嶋を訪ねてくることは、まずない。

「まさか…」

オカジマは嫌な予感がした。

ファイルを無造作に畳に置くと、サンダルをつっかけて狭い部屋を飛び出した。

姫芽が来たら、まずい。

事務所を抜けて玄関にでると、鍵をあけて、勢い良く玄関の扉を開けた。

「ああ?」

玄関の前に立っていたのは、オカジマの見たことのない、中年男性だった。
< 79 / 95 >

この作品をシェア

pagetop