恋する星曜日~Pure Love Story~

あたしは、昨日の光景を思い出す。


カイト先輩の助手席に座るカヨ。


もしカヨが先輩と付き合ったら、あたしが何度も座ってきたあの助手席は、カヨのものになるんだ。

先輩が「友達のカレ」になったら……

部活帰りに一緒にカフェに寄ることだって、きっと出来なくなる。


こんなに先輩の隣にいるのが当たり前になっていたのに。

ううん、当たり前になっていたからこそ。

気づかなかった。

失いそうになって初めて、失いたくないことに気づいたよ――



「……ごめん」



無意識のうちに、あたしの口からそんな言葉が出ていた。



「ごめんって、何が?」



「ごめん、あたし……」



小さく息を吐いて、続ける。



「あたし、カヨがカイト先輩のこと好きになっても、応援できない」



「どうして?」



「だって。だって、あたしも……」



ようやく気づいた、自分の気持ち。


もう認めるしかない。
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