Sugar→


紫陽花が…


艶めいている…




雨を迎えそうな

不機嫌な天気では


当然
お気に入りのベンチには
誰も腰を掛けて居なく



雨を迎えそうな

不機嫌な天気、故


存分に

黄昏れる事が

出来る、と思い


ポケットから
ライターを取り出し



煙草に火を点け

ゆっくりと腰を掛けた



位置を低くしてからの
風景を眺める



左には噴水の奥に
紫陽花


右は、歩いてきた
一本の通り道


草木を越えた
前方には子供連れの母親…



子供も母親も
笑い合っている…


(三歳位…?)


たどたどしく歩いて

子供は自分の乳母車を

器用に押している



そんな
微笑ましい光景を
見詰めながら



僕の吐く紫煙で

目の前が霞みながら

一つの過去が

頭に鮮明に流れだす…



ひやりとした汗が
全身から沸いた

錯覚と共に
身体は感覚が鈍っていく…

いきなり
左方から

強く僕に影が重なり



何かを思い出す
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