KEEP OUT!!

 うん。

 わたしたちの好きな空気。

「うふふ」

「ははっ」

 八重ちゃんが笑っていて。

 亮平が笑っていて。

 変わりゆく中でも、この空気は大切にしていきたい。

 こころの底から、そう思う。

 変わっていくことが悪いことではないように、変わらないものがあってもいい。

 正解なんてわからなくてもいい。

 間違ったってかまわない。

 ただ、それを無意味なものにしなければ、それでいいのだ。

 迷って──

 立ち止まって──

 うずくまって──

 楽しかった日々に服の袖を引っ張られても尚──

 いつかは歩き出すことが、歩いていくことが大切なのだと忘れさえしなければ、それで。

 もしかすると、そうすることで見つかるものだってあるかもしれない。

 ううん。

 そういったつらさがあったからこそ、今のわたしたちのこの空気が生まれた。

 笑い続けることが出来ないように、泣き続けることなんてきっとないはずだから。

 なら、そこから“残るもの”に目を向けてみよう。

 それはきっとこの先わたしたちが歩いていく上で、大きな大きな力になるはずだから。

 大切なものが壊れてしまったって、それは消えてしまうわけじゃない。

 ただ形を変えて、しっかりとそこに残っている。

 だから変わっていくことを怖れる必要なんてない。

 後悔することを、怖れる必要なんてない。

 わたしたちは──



──そうやって成長していくのだから。

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