KEEP OUT!!

「あ~し・あ・わ・せ」

 口の中に広がるアーモンドの香ばしさとハチミツの程の良い甘さ。

 歯を立てたときに断層が奏でるメロディはもはやこの世のどんな名曲よりも美しい。

 それでいてしっとりとした舌触り。

 これは芸術品だ。

「あ~……」

 しかし。

 非常に残念なことに。

 今日のわたしはその味わいの余韻に1分も浸っていることが出来ないでいた。

 原因はわかってる。

 そう。

 亮平のせいだ。

 さっきからアイツのあのしどろもどろな姿が頭から離れないでいる。

 いつもはいわなくてもいいことまでベラベラ喋るくせに。

 気味が悪いったらありゃしない。

 けれどそれ以上に納得がいかないのが──自分。

 どうしてだかわからないけれどさっきのシーンを思い出す度に、顔が熱くなる。

 そんなはずはない。

 昨日読んだマンガのせいだ。

 もしくはおととい観たドラマのせいだ。

 そんなことがあるはずが、ない。

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