KEEP OUT!!

 そういった八重ちゃんの言葉を思い出す。

 と、同時に、わたしは強く頭を振った。

 馬鹿馬鹿しい。

 亮平は親友の想い人じゃないか。

「何をドキドキしてんのよ、わたしってば……」

 そう口にした瞬間。

 わたしは握りしめていたフォークを、落とした。

(“ドキドキ”してる?)

 その言葉にがく然とする。

 わたしが、亮平に?

 戸惑いと嫌悪感が交錯し、頭の中を反響しながらかき乱す。

 それは“ありえない”どころか“あってはならない”ことだった。

 だってわたしは知っている。

 どのくらい前から八重ちゃんがアイツのことを想っているかということを。

 なかなかストレートに口にしてはいないけれど、ずっとずっと長い間ことあるごとに、一生懸命アイツのために色々と頑張っているということを。

 それなのに。

 口の中に広がる苦い味。

 大好きなローズヒップティもすっかり冷めた。

「や、だ……」

 わたしは気付くと、大粒の涙を流していた。

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