KEEP OUT!!

 結局その後八重ちゃんとはかろうじて会話をしたものの、1度も目を合わせて喋ることは出来なかった。

 そんなわたしの態度に彼女が不可解なものを感じるのは当然で。

 何度も、

「紗智ちゃん、ホントに大丈夫?」

 と聞いてきたけれど、その度にわたしは、

「や~もう“年”かなぁ~。寝不足がキツいや」

 と冗談めかして苦笑いをするしかなかった。

 まったくの嘘というわけではなかったけれど、どうにも後ろめたい。

 もし、これが。

 わたしの想いの先にいる男の子が亮平でなかったら。

 同じ方を向いているのが八重ちゃんでなかったら。

 そんなことは今さらよね。

 わかってる。

 わかってる。

 わかってる。

 この先のことを考えなきゃいけないことくらい、わかってる。

 結果の予想がつかなくたって、わたしは……“選択”をしなければならない。

 つまりは、どちらを取るか。


──“恋”か。

──“友情”か。


 使い古されたこの言葉をまさか自分が使うことになるなんて。

 笑い話にもなりやしない。

 物凄くチープな響きなのに、やたらと重たくて、今にも発狂しそうだ。

(なんか……ほんと、身体ダルいな……)

 放課後がやってくるのがこんなにも遅く感じたことは、今まで、1度もなかった。


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