緋月宮の女官~春告げ鳥の唄~


一体、いつの頃から私の身体に染み付いているのだろう?

それは、今はいない母がいつも唄っていた唄だった。

今となっては、幼い頃に亡くした彼女の、顔すらぼんやりとしか覚えていないのに、何故かその唄だけは私の頭にはっきりと残り、刻み込まれているのだった。

きっとそれは子供を産んでも、老人になっても、変わらず私の中に存在し続けるに違いない……。


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