准教授 高野先生の個人授業

寛行さんは、私のカラダの輪郭を手のひらでなぞっていくのが好きだ

髪を撫でていた手が肩に降りて、それから二の腕、肘、手首…

そうしているときの彼って、ちょっと動物ぽいかも?なんて、私は密かに思ってる

相手の素性、身上、関係性なんかを確かめる動物の動作みたいだなって

いつもは、くんくん好きな私のほうが犬っぽくて動物ぽいけど、

このときばかりは、彼もちょっと動物ぽい

ひとしきり確かめると、彼は私を引き寄せて、必ずキスをする

そのキスは、まるで検印のハンコみたいだなって思う

私は、“僕のものに間違いありません”と押印されるこの瞬間がけっこう好き

そして、こんなことをしながらも、もちろん、明日の朝ごはんの話は続いてる

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