准教授 高野先生の個人授業

今度は私のほうがちょっとあんぐりだった

やや戸惑いつつ、ぴったりと彼に寄り添って、そっと顔を覗き込む

「寛行、さん…?」

「僕…」

「え?」

「もう、君なしでは生きていけないかも」

こんな風に、彼はさらっと何でもない顔をして、さくっと私の心に楔を打つのだ

「大げさすぎ、です…」

「そうでもないよ」

「離脱!」

照れた私が、さっと離れてくるりと彼に背中を向けると、

「追撃!」

透かさず彼が、そんな私の背中を包み込む

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