准教授 高野先生の個人授業

もちろん、却下の理由は“大仏だから”などではない(仮に宇宙人でも却下だ)。

しかしまあ、こんなときに僕らはいったい何の話をしているのだろう・・・。

大仏相手に“縮み上がる”だなんて話・・・お世辞にも趣き深いとは言いがたい。

しかも、彼女はなおも食い下がってくるし。

「だけどね、寛行さん。大仏マスクを被っていても所詮中身は私じゃないですか」

「もし、大仏じゃなくて精巧にできた詩織ちゃん顔のマスクでも却下だよ」

「何ですか、私顔のマスクって・・・」

「とにかく、マスクは買ってあげません」

この台詞、言ってみると思いのほかお父さん(お母さん?)口調になっていた。

「もうっ!じゃあいいですよ。自分のお小遣いで買いますから」

「だーめ!無駄遣いはいけません」

あらららら、これじゃあますます親子の会話みたいじゃないか。

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