ほどよい愛
「あ…」

ふと目についた写真。
透のインタビューに続いて書かれている記事が目にとまる。

「父さんと母さん…」

過去に大賞を受賞した事のある両親の写真が載っていて。
横には
『親子二代での大賞受賞』

と書かれている。

記憶の中では曖昧になっている両親の顔を久しぶりに見て、懐かしくなる。

多分、亡くなる少し前くらいの写真。

不意に私の心に蘇った両親との悲しい別れの記憶が一気に押し寄せて、どうしようもなくなる…。

と、思って。

自分自身に対して身構えたけれど…。

悲しい思い出は浮かぶけれど、今までみたいに自分の中に逃げ込んでしまいたくはならなかった。


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