ほどよい愛
会社の前で降ろしてもらい、模型をそっと抱える。大きな布で包まれて、一際目立つ。

「帰りも迎えにこようか?」

車を降りて回ってきた透が声をかけてくれたけど。

「ううん。いい。今日は恭汰のとこに帰る」

「なんで。今週は市橋の家に帰るって…」

「…ごめんね。どうしても今日はだめ。二日離れて限界だし…」

「たった二日だろ?俺と千尋なんて何か月も会えないのに」

「ははっ。まぁ、いいじゃない。…まぁ、もしかしたら、大泣きしながら市橋の家に帰ってるかもしれないけど…」

ふふん。と笑ってみせて。

「じゃ、また連絡するね」

訳がわからなくて突っ立ってる透を残して会社へと入っていった。

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