ほどよい愛
「じゃ、俺は一旦会社に戻るし、姫が仕事終わったら連絡くれる?…あ、メアドやら教えて」

「うん。赤外線で」

二人で携帯近付けて、処理完了。

「じゃ、連絡待ってるわ。ここから近い『おりがみ』っていう店で会う事になってるし」

「あ、そのお店なら知ってる。仕事片付いたら連絡する」

「了解」

慎也は、昔みたいに私の頭をぽんぽん叩くと、不意に耳もとに顔を寄せ

「首にあるキスマークは昼休みにつけられたの?」

「え!」

思わず両手で首筋を押さえる。
資料室で恭汰につけられたに違いない。

「あ、あ、これはなんでもなくって、虫に、そう虫に刺されて…」

「はははっ。姫がそんなに慌てるのめったにないよな。」

「……」

真っ赤に違いない私の頬を手の甲で優しく撫でる慎也は、妙に嬉しそうで。

「姫が幸せそうで良かったよ」

「…幸せ…?」

「そ。男なんか寄せつけなかった姫のガードを突破した素晴らしい男は、あそこから俺の事睨んでる…」

慎也の視線の先には…恭汰。
部屋の入口の扉にもたれている。目を細めて不機嫌そのものの表情でこっちを見てる。
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