彼女の嘘と俺の嘘


 外はすっかり秋が深まっていた。


 公園の中にある散策路の落葉樹は赤や黄色の葉を彩り、緩やかな風によってゆらゆらと落ち葉を降らしている。


 飛んでいるカラスがなにかを警戒するかのように「カァ、カァ」と大きな鳴声を発しながらおれの頭上を通過してゆく。


 おれはしかめ面でそのカラスのあとを目で追った。


 そのとき、透き通る青空が広がっていることを今日改めて知った気がした。


 サキも同じ秋空の下を歩いているだろうか?


 落葉樹によって両脇を挟まれた散策路を歩いていても、おれはサキのことを考えるようになっていた。

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