彼女の嘘と俺の嘘


 ピュ~と冷たい風が吹いて髪の毛を乱す。


 さらに2度、3度と迷惑な風が舞った。


 空には追いかけっこでもしてるみたいに白い雲の群れが横切り、気まぐれな秋の天気を露呈する。


 夜になればサキが好きな雨を降らすことだろう。


 カラスが神経質な生き物なのかは知らないが、この風を予測してねぐらへ帰ろうとしていたのかもしれない。


 かろうじて張り付いていた落ち葉が次々と落とされ、散策路を埋め尽くしていく。


 数分で黄色と赤の絨毯の出来上がり。

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