彼女の嘘と俺の嘘


 透明なタンクに色合いを強調するオレジンジュースなどが入ったコールドドリンクディスペンサーが置いてあり、おれは返却口にコーヒーカップを片付けた。


 ソフトドリンクコーナーの横は座敷タイプの個室が並び、奥からは迷惑この上ない大きなイビキをかいている客がいる。


 後々、店長クラスの店員ならば注意するかもしれないが、周りの客がドアを開けて「うるさい!」などと怒鳴る光景なんて見たことがない。


 それは気持ちがわかるからだ。


 深夜ここで寝泊りする者の大半が重労働で蓄積した疲れを僅かながらに吐き出しているだけで、迷惑をかける気がないことはわかっている。

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