-意地悪王子な旦那様-
「梨杏!…梨杏!先輩が走るよ!」
「えっ!いつ?」
「今だよアホ!ほら、あそこ!」
「んんー?………あ、いた!」
優がレーンの上に立っているのを見つけると、優と“一瞬”目があった
「ちょっと聞いてる?って、何赤くなってんのよ」
「な、なんでもない…」
「あそう?ってか借り物競争だなんて…良いね〜♪」
「…なんで?」
借り物競争の何が良いの?
頭にハテナマークがたくさん浮かぶ
「だってさ!もしも先輩がくじで“…年生の女子”とか引いてもしあたしがなったら超ハッピーじゃん!」
「まっさかぁー」
あたしは少しだけ本当にそれがあるのではないかと思っていた
……その勘が、鋭く当たっていたかも知らずに
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